11月29日の本会議で行われた平成18年度決算認定に対し、不認定討論をしました。
以下、その内容です。(内容に多少の前後があります)
平成18年度決算認定について述べます。
狛江版集中改革プラン・「アクションプラン」2年目の18年度は組織のスリム化・事業のスリム化・収支均衡型財政への転換で10億2千万の効果が出ているとの報告です。それらのことの具体的中身で言えば、事業のスリム化では、私立幼稚園費用の補助に所得制限を設けたり、指定管理者制度導入、長期休暇時のこどもフリープレイ事業の取りやめ、公民館事業の縮小などでした。また、収支均衡型財政への転換の中身は、手数料の値上げやごみ有料化、補助金の見直しなどをしました。このように、市民生活への影響の大きいことが改めて分ります。ですから、敬老金の見直しなど少しでも生活から離れている部分にメスを入れようとの議論が予算審議でされたのであろうと思います。もちろん、市民祭や夏祭りなど市民の楽しみや交流に関する予算も大切ではあり、花火大会の復活が言われている昨今ではありますが。
ところで、18年度は、高齢者控除の削減などで税負担や社会保険料、医療費の窓口負担も増え、高齢世帯の生活がたいへん苦しくなった年です。この傾向は19年には現役世代の市民税フラット化で市民は負担が増える代わりに、市税が増えることから、狛江市の財政が一息つくという皮肉な現象を引き起こしています。
このような中、市政の役割はやはり市民生活を守る、いざというとき頼りになる安心感が感じられ、現役世代の女性も男性も安心して働くことが出来る街を作ることです。そして子どもを育む仕掛けが学校や地域社会にあること、若者の自立を促す街、障がいのある方も高齢者もいきいきと暮らせる街でありたいものです。
さて、財政難の中でも、市民の期待に答えるためには政策の優先順位をきめざるを得ません。そして、その際大切なことは、市民議論がなされ、市民が納得をして、優先順位を決めることです。また、市民が助け合うための仕組みを作る政策に力をいれ、将来を見越してのまちづくりや環境政策、狛江らしい産業を含めたまちの活性化策にも予算を使って欲しいものです。そうすれば、小さくても希望のあるまちができることでしょう。
以上のような視点から、18年度決算を見て見ますと、大変残念な事柄がいくつかあります。
まず、大型事業の学校統廃合関係費12億円のうち、緑野小の新築工事7億2千万円ですが、校舎新築の際、新こどもフリープレイ事業の放課後クラブとフリープレイの場所をそれぞれ分ける施設をいれていません。完全に分けないことで交流があるなど分けない利点もありますし、1教室の1,5倍ほどのスペースを放課後クラブとフリープレイで使うなどの工夫もあります。しかし、学童保育に準ずる施設として、保護者が働いているなどの児童の「生活の場」でもあり、学校からおかえり・ただいまといって子どもを家庭に代わって、受け入れる施設です。学童クラブには、落ち着いて自分のしたいことやしなければならないことに取り組める環境をつくるべきではないでしょうか。この問題に関して話すと「子どもはとにかく遊びたくて来るから晴れていれば校庭で、雨の時は体育館で遊ぶから大丈夫」といわれます。しかし、それは、フリープレイに来る子供さんがそういう傾向にあるということだと思います。現在では35人の定員のところ44人受け入れているといいます。今年の保護者へのアンケートによると緑野小の放課後クラブへの来年度の希望者は57人ということです。そもそも旧ニ小には上和泉学童の分園があったわけですから潜在的な要望はあるわけですし、同じアンケートによると放課後クラブのあり方は、一概には言えませんが、学童以上に人気があるようで、定員を1,5倍は上回っています。
ここに、放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)ガイドラインという厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の地方自治法245条の4第1項に規定する助言があります。19年5月1日現在の実施状況調査の後、19年10月19日付で出されたものです。「放課後児童クラブを生活の場としている児童の健全育成を図る観点から、放課後児童クラブの質の向上に資することを目的とし本ガイドラインを策定したとし、対象児童に特別支援学校の小学部の児童および、4年生以上の児童もあげています。施設面では児童のための専用の部屋・または間仕切りなどで区切られた専用のスペースを設け生活の場としての機能が充分確保されるように留保することとあります。その他、職員の質などいろいろなことが書かれています。
これ以降、文部科学省が中心となった放課後こどもプラン事業が本格化してきます。「放課後こどもプラン」についてという文部科学省の平成20年度概算要求の概要という資料もあるのですが、補助事業として様々な展開がかかれています。厚生労働省としてはこの事業が本格化する前に「生活の場」としての学童保育的なものをしっかりとまもり作っておきたいのではないかと思うわけです。そして、自治体によっては。文部科学省中心の子供プランの方に力を入れていくことも可能で、ですから、ここが政策の分かれ目であろうと思います。そして、このような場合こそ市民議論をして決めていっていただきたいわけです。緑野小建設の時に、きちんと議論をして設計することは出来たろうと思います。
18年度には緑野小新こどもフリープレイにおける放課後クラブとフリープレイの場所を分ける陳情が出され継続審議の上、審議未了となっています。議会の見解も出していないうちに建設が終わり、議会の方にも責任はあろうと思いますが、財政難の中、起債を増やさず新規事業は控えるべきといわれる中、踏み切った事業です。もっときめの細かい議論がなされ、後悔のない校舎を作るべきだったのではないか、大変残念です。予算規模の大きさからいって、取り返しがつかないと判断され、この予算執行を認めるわけにはいきません。
新フリープレイとしていることから、狛江市としては学童的な展開は学校ではあまりしないつもりなのか、学童に代わるものを学校で展開することについて、保護者と話し合えなかったのかが残念です。4年前、第一小学校区の学童の不足から始まった放課後クラブですが、そのときももめにもめました。せっかくもめたのだからもっとしっかり、学童をどうしていくのかという議論を保護者の方たちとその後も出来たのではないか、そうすれば、緑野小でどのような放課後対策事業をするのかも市民の納得の上で結論が出たのではないかと思い、そのことも残念であると付け加えます。といいますのも、18年度審議未了となった陳情に先の陳情と同様のものが出されており、保護者の中で少し異なった意見があったように見受けられるわけで、そのようなときも、市が市民同士の議論が出来るようコーディネートし、より良い結論に導きだすべきではなかったでしょうか。
また、緑野小学校の場合、学年ごとのオープン教室という設計ですので、今後空き教室が出るということはない設計になっています。なおさら、慎重に検討したうえでの建設が望まれました。
次に、まちづくりについてです。
18年の6月から水道道路では若者が三人命を落としました。自転車やバイクと自動車の接触事故によるものでした。5年前の大規模改修がかえって車のスピード運転を誘発している現状です。歩道を広げる計画が10年内の道路計画に入ったとのことで、また、都道であるので市の管理ではないとのことですが狛江市の責任はないとはいえません。といいますのは、狛江には多摩水道橋があり、その橋のたもとに向って都市計画道路が集中する、いわば、扇の要に近いところのような特徴を持った街なのです。先日も和泉多摩川緑地都立公園化協議会のシンポジウムで狛江のこのような土地柄を「橋詰め」というのだそうで、橋のところでビンの口が小さくなるようにボトルネックスペースだそうです。そういうところでは、ほかのまちより大きな道路がたくさん走るわけで、これから都道114号線が開通しても、田中橋から松原の歩道の狭い部分はまさに水道道路と同じ情況になりかねません。
また、狛江市の平均世帯収入が所得控除後の金額ですが、400万円にも満たない、単身者が多い、年金生活の方が増えている、又、正社員が減っているとはいえ、市民税の特別徴収世帯が1万世帯あまりという狛江市の現状をまちづくりの側面からどう考えていくのか、といった議論が進んできません。若い子育て世帯が移ってくるようなまちづくりが必要なのか。駅に近い中和泉1丁目や岩戸北1丁目、東和泉のまちづくりが将来を見据えて行われていません。南口開発の遅れも響いています。駅周辺の活性化も急がれます。小田急にも法人ですが一市民としてまちづくりに加わってもらうような努力を続けて欲しいものです。まちづくり条例やマスタープランに基づき、さまざまな手法で地区協議会を誘導したりすべきでした。そのためにも、宅地化農地の行方なども総合的にまちづくりのテーマとなるような農業委員会とまちづくり委員会の共同したあり方などをもっと模索すべだったのではないでしょうか。財政難から補助事業や国の事業に飛びつくという傾向があります。予算がないという現状からそうなるのも分らないではありませんが、心をくだいて、もっとやるべきことはたくさんあります。このような予算執行への行政の姿勢が評価できません。
環境行政も停滞しています。屋上緑化に取り組むなら、公共施設など率先して取り組んでほしいし、生垣も増えていません。市役所前から狛江三叉路の道路が拡幅されましたが、安いハナミズキを植えるなど、かつて、どのような街路樹にするか検討した意欲もなくなってしまったのでしょうか。大木を増やすように、街路樹の何本かに一本は大木にし、その下にはベンチをおくなどせっかく広がった歩道の使い勝手も工夫をして環境と高齢者の外出支援もして欲しいものです。都の事業であるならそれに意見を言える窓口を作って欲しいものです。
最後に、国民保護協議会設置と国民保護計画の作成に関して、討論が長くなるので結論だけを申しますが、テロ攻撃など武力攻撃への対処といって、有事法制が成立し、その一環の国民保護法に伴うものですが、攻撃しない限り攻撃されない世界でテロに対応するのであれば、災害時緊急避難・震災時の原発火災を想定した行動計画で充分ではないでしょうか。有事法制のもとの国民保護計画では国民の命は守れないばかりか、かえって危険にさらすような国の姿勢に、総務省の指示とはいえ、自治体は従う必要はまったくありません。よって、これら国民保護計画関連予算の執行を容認することはできません。
以上4点の観点から18年度一般会計決算を認定することは出来ませんでした。行政は
もっと心をくだいてやるべきことに取り組んでいただきたいと再度申し添え私の討論を終わります。